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赤穂浪士討ち入り事件を伏線に描いた作品

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花家圭太郎さんの『青き剣舞(あおきけんばい)』を読み終えた。友情と武士道と家族愛のいずれを重視すべきか、己に課せられた命題に、真正面から向き合った一人の若者・桑原玄二郎の青春を描く時代小説。

青き剣舞(けんばい) (中公文庫)

青き剣舞(けんばい) (中公文庫)

家族のために、一度は江戸の市井に暮らすことを決心した玄二郎にふりかかる武家のしがらみ。まっすぐなゆえに妬み、惑い、殺しまで犯してしまう、親友の参徹。学問こそ、政事の基と信じる継之進。折から遭遇する赤穂浪士討ち入り事件に対する、三者三様の思いやとらえ方の違いが描かれていて興味深い。

物語の冒頭で、秋田城下の山や川の魅力が玄二郎の眼を通して丹念に描かれている。この部分のおかげで読者はとろりと玄二郎の魅力に引き込まれてしまう。

また、赤穂事件をうまく物語に生かした作品でもある。赤穂事件を物語の背景に巧みに取り入れた時代小説としては、藤沢周平さんの『用心棒日月抄』が思い出される。諸田玲子さんの『犬吉』も事件後の狂乱を描いた作品の一つである。

用心棒日月抄 (新潮文庫)

用心棒日月抄 (新潮文庫)

犬吉 (文春文庫)

犬吉 (文春文庫)