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放屁芸を売りにする旗本

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宮本昌孝さんの『旗本花咲男』は、何ともゴキゲンな時代小説である。『旗本退屈男』のパロディー作品で、主人公は茶乙女留主水之介である。得意技は諸屁流放屁術。ピンチになると、ポパイのほうれん草のように、茶乙女家秘伝のキンピラゴボウを食べて自由自在に屁をひねる。

「殿中放屁御免」の家柄の当主である、留主水之介は、退屈屁、思案屁、諸屁流真顔崩し、諸屁流天狗とび、三段とび、諸屁流脚払い、脚斬り、諸屁流城崩し、御昇進屁、諸屁流夢寐誘、諸屁流時鳥……、多彩な諸屁流放屁術の奥義を駆使して活躍する。

将軍家の御落胤を語る鰻一坊事件の顛末を描く話や、吉良邸に討ち入りできず汚名を来た旧赤穂藩士の悲哀と「仮名手本忠臣蔵」誕生秘話など、興味深い話が披露されていき、なかなか楽しい。