鯨統一郎さんの『タイムスリップ明治維新』を読み終えた。時代小説というよりは歴史SF小説というべき作品か。
- 作者: 鯨統一郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/07/12
- メディア: 文庫
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ともかく、渋谷辺りにいそうな今どきの女子高生が激動の幕末にタイムスリップするという設定は面白い。しかも、タイムスリップした女子高生・麓うららが飛び込む世界が、オリジナルな歴史の大河の中ではなく、何者かが過去へ戻って歴史に干渉してできた歴史の支流という。
オリジナルな歴史と支流の誤差が0.1ヒストローム未満になれば支流は自然消滅する。ヒストロームは、支流がどれだけオリジナルの歴史から離れてしまっているかを表す単位。その時代に起きた事件、出来事、社会制度、通貨などなどを総合して誤差が判断されて数値化される。うららは、その歴史の支流がなくならなれば元の世界に戻れる。逆に10ヒストロームを超えた支流はオリジナルに戻れないという。
何者かにより狂わされた支流の歴史を、活躍でオリジナルに戻せるかどうか。桂小五郎や岩倉具視、中村半次郎らを相手に、女子高生うららの体を張った思い切った活躍ぶりが最大の見どころ。未来から来たうららが、拍子抜けするほど、覇気のない坂本竜馬にある本を渡すところは笑ってしまった。支流なので、史実にないことを多少やっても許されるところがご愛嬌か。
もし、自分が明治維新にタイムスリップしたらどうなるのだろうか? ちょっと考えてみるのも暇つぶしになりそうだ。
巻末に作者の鯨さんと声優の田村ゆかりさんの対談が掲載されていた。田村さんはからNHK FMで「タイムスリップ明治維新」(2004年1月)、「タイムスリップ源平合戦」(2005年1月)、「タイムスリップ戦国時代」(2006年1月)、でそれぞれうらら役を演じているそうだ。
エラー - NHK