松井今朝子さんの『二枚目 並木拍子郎種取帳』を読み終えた。人情味あふれる解決ぶりで読み味がいい捕物小説。
- 作者: 松井今朝子
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2006/06/01
- メディア: 文庫
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「輪廻の家」
材木商高崎屋の美人のお内儀おふじは家付き娘で婿養子を迎えていた。高崎屋は創業以来、当主は七左衛門と名乗って、今は五代目だった。初代と二代目を除いて婿養子で成り立ってきた家で、跡継ぎが生まれなくなった曰く因縁があった……。
「二枚目」
二枚目役者の染川十三郎は、立女形の瀬川路考に怒られたり、ひいきから苦情の手紙が舞い込んだりと、最近、評判を落としていた。拍子郎は師匠の五瓶から、その理由を探るように命じられた……。
「見出人」
かつて料理茶屋和泉屋に勤めていた料理人で今は居酒屋の主人伊三次が、女房のお小夜を殺した容疑で捕まった。第一発見者(=見出人)は、店の常連客で古着屋を営む由蔵だった……。
「宴のあと始末」
市村座で見合いをした大黒屋のおみつは、三幕目を見終えた後、厠に行ったきり四幕目の幕が開いても戻ってこなかった。拍子郎は、桟敷番の頭の定七とともに、消えた娘を探すことになった……。
「恋じまい」
五瓶は十年ぶりに、かつて吉原でなじみだった遊女の豊浦と会った。豊浦は、年季明け間近い今年の夏にお年寄りの旦那に身請けされ、本所の割下水と横川にはさまれた土地に妾宅をあてがわれていた……。
芝居町の四季の中で、拍子郎と五瓶の捕物話を披露目ながら、拍子郎と料理茶屋和泉屋の娘おあさの恋と、五瓶と女房の小でんの心の機微を描いていく。江戸情緒豊かな一冊。
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『二枚目』の中でもおいしそうな料理が出てきますが、ブログ形式で紹介される「今朝子の晩ごはん」は、どれも本当に美味そうです。