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小江戸川越と天海僧正

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梅雨の晴れ間の一日、川越散策に出かける。川越は二回目だったが、シルバー案内ボランティアの方にガイドをしていただき、貴重な話がたくさん聞けて、新しい発見が多く、大いに歴史の勉強になった。

約半日(四時間)のコースは、以下の通り。

本川越駅→喜多院・五百羅漢→川越城本丸御殿→蔵造り町並み(大沢家住宅・時の鐘・蔵造り資料館)→菓子屋横丁

喜多院は、家康のブレーンとして活躍した天海僧正が住職を務めた天台宗のお寺。住職さんのお話も聞けてラッキーだった。天海僧正は、上野寛永寺や日光のイメージが強いが、実は五十年もこのお寺の住職を務めていた。その政治力を生かして、寛永十五年(1638)の川越大火で山門を除き堂宇をすべて焼失した後、江戸城紅葉山の別殿を喜多院に移築したという。

五百羅漢は、釈迦のお弟子さんたちの像が石で彫られたもの。それぞれの石像に由来があるそうだ。老後に仏像をじっくり研究するのも悪くないなと思った。

川越城本丸御殿は、天守閣はなく、御殿建築の家老詰所が現存する。酒井忠勝、堀田正盛、松平信綱、柳沢吉保ら、大老や老中を務めた幕閣の実力者の居城ということで、軍事用の城というよりは、平和時の治世のための政務用の屋敷と印象を受けた。

蔵造りの町並みを散策すると、川越が城下町というだけでなく、江戸との結び付きから商業の中心地であったことも知る。度重なる火事で商家が土蔵造りになったという。現存する蔵造りの建物は、明治二十六年の大火以降のもの。立派な建物から、川越の商人たちの経済力の大きさを感じる。

夕食は、うなぎの小川菊で取る。徒歩圏内に名所がすっぽり納まっているので、東京からの日帰り観光に最適な町の一つである。帰りの電車の中で、川越を舞台にした時代小説があまり思い出せず、天海僧正が出てくる作品について考えてみた。

川越を舞台にした作品:佐伯泰英さんの『暴れ彦四郎 鎌倉河岸捕物控』

天海が出てくる作品:『家康外法首』『柳生忍法帖』『寛永妖星浄瑠璃』『鬼九郎鬼草子』『黒衣の宰相』……なんか、伝奇時代小説ばっかりだな。

柳生忍法帖・上 (講談社ノベルス)

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寛永妖星浄瑠璃 (学研M文庫)

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黒衣の宰相 (文春文庫)

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