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金杉父子の再会で、物語は最高潮

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佐伯泰英さんの「密命」シリーズの最新刊『遠謀 密命・血の絆』を読んだ。毎回、いろいろな趣向が凝らされて、サービス満点のこのシリーズ。今まで大きく取り上げられることがなかった金杉惣三郎の次女の結衣に、今回はスポットが当たる。

今までの物語では、長男の清之助やみわの初恋については、描いてきたが、いよいよ次は結衣かと思ったが……。

十五歳になり、思春期を迎えた結衣は、芝神明社で興行された宮地芝居を見て以来、役者になることを夢見ていた。そして遂には家出をして、旅芸人一座とともに尾張に向かった。惣三郎は、一座の背後に尾張徳川家があるのではないかと胸騒を覚える。大和柳生の庄で剣術修行に励む清之助に危急を知らせ、尾張にて落ち合うことに……。

そして見どころは、享保剣術大試合で尾張柳生の柳生六郎兵衛に敗れた翌未明に回国修行の旅に出てから、二年四カ月ぶりの父子の再会である。二人で協力して、尾張柳生の本拠地の名古屋に乗り込み、結衣の救出に向かうのだった。

「居眠り磐音」シリーズに比べると、「密命」シリーズは進行が早い。八代将軍吉宗と尾張徳川宗春の抗争をしっかりと描きたいという、作者の思いがあるようである。そのため、清之助が巻を追うごとに成長を示し、惣三郎と同等の活躍ぶりを見せるようになっている。今回は二人の競演で、ひとつのクライマックスを迎えた感じがする。今後、清之助の活躍シーンはますます増えていくであろう。

シリーズの昔からのファンとしては、池波正太郎さんの『剣客商売』の秋山小兵衛、大治郎親子のように、父にやや重点を置いた描き方をしてもらいたいのだが……。

そういえば、YOMIURI ONLINEのジョブサーチに佐伯泰英さんのインタビューが載っていた。「不屈」の3か条が紹介されていた。

http://job.yomiuri.co.jp/interview/jo_in_06051001.cfm
遠謀―密命・血の絆〈巻之十四〉 (祥伝社文庫)

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剣客商売 (新潮文庫―剣客商売)

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