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2006-04

市井人情

犬好き大満足の時代小説

阿部牧郎さんの『艶女犬草紙』を読み終えた。 文政年間の大坂。武士を捨て貸本屋を営む町之介は、犬が縁で下宿(したやど。奉行所に出頭する人の控え所を貸す業者)の若女将リサと知り合う。町之介は、「アラぬきの多助」という犬好きの青年とともに、「犬の...
市井人情

本所は旗本子弟の社会勉強の場

宇江佐真理さんの『あやめ横丁の人々』を読み終えた。ささやかだけで居心地のいい大切な場所を失ったような喪失感というか、素敵な夢から覚めてしまい、いつもと変わらない現実に直面したときのような思いがする。 婿入り祝言の場で新婦を相愛の仲の奉公人に...
お悔やみ

時代小説家村上元三さん死去

戦後の時代小説をリードした村上元三(むらかみ・げんぞう)さんが6月3日、心不全のため死去された。96歳だった。謹んでご冥福をお祈りします。 作家の長谷川伸さんに師事し、「上総風土記」その他で第12回(昭和15年下半期)直木賞受賞した。『佐々...
市井人情

宇江佐真理さんと江戸情緒

『あやめ横丁の人々』を読み始める。宇江佐真理さんらしい、江戸情緒たっぷりの歯切れのいい語り口が楽しい。 婿入りの祝言の席上で、昔の映画『卒業』(ダスティン・ホフマンが出ていたやつ)のように、妻を恋人に奪われた大身旗本の三男坊、紀藤慎之介。逆...
作家

司馬遼太郎作品を敬遠していた理由

昨日、時代小説について語る機会があり、司馬遼太郎さんの作品を敬遠していた理由について尋ねられた。(現在は司馬さんを評価し、その作品をちゃんと楽しんでいる) サイトを始めた1996年頃までに、司馬さんが描く歴史上の英傑の行動哲学がビジネスマン...