北方謙三さんの『鬼哭の剣』を読み始めた。『風樹の剣』『降魔の剣』『絶影の剣』に続く「日向景一郎シリーズ」の第四弾である。北方さんというと、新感覚で南北朝時代を描いたり、「三国志」や「水滸伝」などに題材をとった中国歴史小説で活躍されている。
この「日向景一郎シリーズ」は、作者の現代的で、ハードボイルドな作風が堪能できる剣豪小説である。今回は、前作より五年後に舞台が移る。景一郎の弟の日向森之助が、江戸の薬種問屋杉屋清六の大事な使いとして、越後の糸魚川にやってくるところから始まる。
短文を畳み掛けるように綴っていく、おなじみのハードボイルドな文体が読んでいて心地よい。しばらく北方さんの男の世界を堪能したいと思う。読書の達人である、俳優の児玉清さんが解説を担当されているのも読後の楽しみだ。
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