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大坂の町娘が活躍する時代小説

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最近、江戸だけに飽き足らず、大坂に関心を持ち始めている私。築山桂さんの新刊、『紅珊瑚の簪(かんざし)』を読み始める。築山さんは、『浪華の翔風(なにわのかぜ)』を読んで以来、とても気になっている女性時代小説家だ。プロフィールによると、京都府生まれで、大阪大学大学院文学研究科博士課程位取得。専攻は日本近世史で、修士論文のテーマは、近世大坂の本屋仲間組織の変遷と出版業界の展開だそうだ。現在は福井県在住。

デビュー作以来、築山さんの今までの作品は大坂が舞台のものが多い。今回の主人公・一文字屋お紅実(くみ)は、江戸育ちで母お香の死後、父文蔵の住んでいる大坂にやってきたという設定。文蔵は板元(本の出版販売業)である一文字屋の主で、お紅実も一文字屋を手伝っていた。

お紅実は、町会所で留守番をしていた折、火事が起こり、草紙屋殺しの下手人と疑われていた男を解放してしまう。そのことで、町奉行所同心浦辺兵七郎と手先の弥吉に付きまとわれることになる。

事件の裏には、大坂商人に莫大な御用金を要求する勘定奉行とそれに対抗する豪商たちの確執があり、過去の「大坂城御金蔵破り事件」も関係していく……。

わくわくする物語の展開とは別に、作者の研究テーマである、江戸時代の大坂の本屋事情が随所に描かれていて興味深い。

築山桂さんの公式サイト「つきやま楽所」

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