昨日(3月17日)の朝日新聞夕刊の文化芸能欄、『御宿かわせみ』がいよいよ明治編に突入することが大きく取り上げられていた。朝日新聞の編集委員の由里幸子さんの署名記事で、平岩さんの執筆動機や、挿絵や装画を担当している蓬田やすひろさんのコメントも掲載されていた。
記事の中で、東京工業大学の教授で文芸評論『歴史小説の懐』の著者山室恭子さんの、「長く続く時代小説は、ストーリーが進んでも、時間は足踏みすることが多い。(中略)ずいぶん思い切ったことをなさる」という談話が印象的だった。
山室さんは『歴史小説の懐』で、作品世界の年表づくりをしてしまうという性ゆえに、「御宿かわせみの謎」の解析している。雑誌連載に合わせて季節を経過して行くのに、いつまでも若々しいおるいさんの秘密や、「かわせみ」の間取り、客室の不思議にスポットを当てて作品分析をしていた。
平岩さんが「江戸の暮らしをそのまま引きずって生きていて、遠くの方から微かに文明開化なんんていう掛け声が聞こえてくる。(中略)そこの時代を書いた小説は意外と少ないのではないかと思います」と執筆動機を書かれていたが、幕末から明治への切り替えを描くということは本当に難しいと思う。
今のわれわれの感覚では明治維新を機に一変したように思えるが、武士を除けば、江戸の庶民レベルでは、激変ではなく徐々に変わっていったというほうが近いのではないだろうか。
「御宿かわせみ」の明治編は今秋始まる予定という。庶民の暮らしぶりがどのように描かれていくのか、平岩さんの大胆な挑戦を楽しみにしたい。
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コメント
山室先生、こんなところでも大活躍。
私もこの記事よんで興味を持ち且つ安心した一人です。「御宿」はかかさず読んでおりますが、与力、講武所教授等旧体制に属していた人たちが人生を全うするために時代の波をどのように乗り切るのか精神的な面も含めて平岩さんに書いていただけたらと思っています。