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背筋がピンと張った剣豪小説

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海道龍一朗さんの『真剣 新陰流を創った男、上泉伊勢守信綱』を入手。作品は未読だったが、海道さんは2年前の単行本刊行時から、とても気になっていた作家である。新人作家なので、どのような形で読者の目を引くのか、興味深々でページをめくった。

目次には、「其の壱 邂逅 A.D.1563. Province Ise, The Chateax “KIRIYAMA”.」のように、新しさと才気を感じさせる仕掛けがあった。しかし、読み始めてみると、奇をてらったところが少ない、きわめてオーソドックスな筆致。風景の描写の端正さなど、日本語の美しさが伝わってくる。姿勢を正して、背筋を伸ばして読みたい本だ。南伊勢の国司北畠具則(きたばたけとものり)との立合いシーンの描写も確かで、剣豪小説に慣れていない方にもわかりやすいのでは。

ブログを終えたら、すぐに続きが読みたくなる、楽しみな時代小説の登場である。

真剣―新陰流を創った男、上泉伊勢守信綱 (新潮文庫)

真剣―新陰流を創った男、上泉伊勢守信綱 (新潮文庫)