北方謙三さんの『黒龍の柩』を読み始めた。土方歳三を中心に、新選組を描いた長編小説である。北方さんの時代小説らしく、年号が記されないまま、物語が進むので、歴史を意識しないで現代ものと同じ感覚で読める。
北方さんの時代小説は、短文を畳み掛けるような文体とともに、主人公の描き方や考え方も現代的なことが多く、読んでいて共感しやすい。古い価値観を大切にする近藤勇ではなく、土方歳三を主人公に据えたのもうなずける。
この物語を読み始めて気に入ったのは、新選組総長の山南敬助の描き方であり、とくに切腹に至る過程とその原因の作者なりの解釈が納得しやすい。今まで、ノドにひっかかった骨のように、気になっていたことの一つだっただけに、「そうか」と思った。
まだ全体の1/3ぐらいしか読み進んでいないので、この後、どんな展開を見せるか大いに期待したいところだ。欠かさずに見ていたわけではないが、NHK大河ドラマ「新選組!」の影響からか、山南敬助というと、堺雅人の顔が眼に浮かんでくる。
- 作者: 北方謙三
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2005/10/01
- メディア: 文庫
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