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講談社文庫のしおりと不定時法

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講談社文庫の新刊『じぶくり伝兵衛』を読み始めた。逢坂剛さんの時代小説「重蔵始末」シリーズの第二弾。本を読み終えてしおりを探したら、いつもと違うものが入っていてちょっとうれしくなった。

このしおりは薄いグリーンの厚手の紙で、幅が通常の倍あった。何の変哲もない紙だが、表面に「江戸時代の単位」として、一里、一町、一間などの長さと半刻、一刻などの時間の長さの換算表が付いていた。裏面には「時刻新旧対照表」が掲載されていた。距離や時間の長さについては知っていたことだが、この時刻の換算表は時代小説を読む際に大いに役に立つ。

江戸時代は一日の日の長さを六等分して一刻を決めるという不定時法を採用していたことは知っている人もいると思う。時代小説を読んでいると、一刻を約2時間として、明け六つ=午前6時というように単純化して説明しているものがある。実は1年のうちで一刻の長さが約2時間になるのは春分と秋分前後だけである。

しおりでは、旧暦の冬至十一月中旬(12月22日)、春分二月中旬(3月21日)、夏至五月中旬(6月21日)、秋分八月中旬(9月23日)について、明六つから暁七つまでの時刻を旧暦と新暦を対比して載せている。たとえば、明六つといっても、冬至のころは6:11で、夏至のころは3:49と実に2時間以上違っていることがわかる。

ケータイも電化製品もなかった江戸時代。自然が今よりも身近にあり、みんな時間の感覚を持っていたんだなあとしみじみと思った。不定時法については、『時代小説が書きたい!』の中で、作家の鈴木輝一郎さんが解説されているのが、詳しくてわかりやすい。

じぶくり伝兵衛 重蔵始末(二) (講談社文庫)

じぶくり伝兵衛 重蔵始末(二) (講談社文庫)

時代小説が書きたい!

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