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小判改鋳と一放流剣術

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竜門の衛 (徳間文庫)』以降、幕府内の権力闘争を題材にした伝奇小説を次々と発表している上田秀人さん。彼の作品はいずれも読み出したら止められない、ノンストップエンターテインメント時代小説ばかり。最新文庫の『破斬―勘定吟味役異聞 (光文社時代小説文庫)』もそんなわけで、期待感大。

主人公の水城聡四郎は、六代将軍家宣の懐刀の新井白石によって、勘定吟味役に抜擢された。剣は富田越後守の高弟であった富田一放が創始した一放流で鍛えた遣い手。戸部新十郎さんの作品でぐらいしか登場しないマイナーな流派に着目したのが面白い。

ポスト綱吉の時代ということで、柳沢吉保や勘定奉行荻原重秀などの守旧派と、白石の改革派の争いが見もの。とくに、小判改鋳をめぐる疑惑にスポットを当てているので、江戸経済の一端も垣間見ることができて興味深い。

破斬―勘定吟味役異聞 (光文社時代小説文庫)

破斬―勘定吟味役異聞 (光文社時代小説文庫)