『火裂の剣―助太刀人半次郎 (時代小説文庫)』を読了する。ミステリータッチの剣豪小説である。仇討ちの助太刀の旅に出た主人公半次郎と、玉置が遣う大神流の千手の剣や、薩埵峠を根城にする野伏り阿修羅との対決、大神流刀術の宗家をめぐるお家騒動など、見どころが随所にあり、エンターテインメントとして楽しめる。
登場人物では、ビジネスライクに助太刀役に徹しきれない主人公のほかん、大神流宗家を狙う玉置、亡き父の仇討ちの旅に出る高坂右京、その従者の小助など、印象的なキャラクターがいる。とくに、背丈が六尺三寸を超えて、巌のような雄偉な体格の持ち主ながら、気が優しくて殺生は嫌いで武道が苦手という右京の存在が面白い。
次回作もありそうなので、半次郎と右京の今後の活躍が期待できそう。楽しみといえば、帯に「時代小説の超新星の登場である」という森村誠一さんの絶賛コメントが寄せられた、『鷺の墓 (時代小説文庫)』を読み始めた。作者は今井絵美子さんという方で、本書は初の文庫書き下ろし作品だという。
- 作者: 今井絵美子
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2005/06/01
- メディア: 文庫
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