ひと頃、『嘉永・慶応 江戸切絵図〈1〉―江戸・東京今昔切絵図散歩 尾張屋清七板 (古地図ライブラリー)』(人文社)をそばに置きながら、時代小説を読んでいた。幕末近くに刊行された尾張屋版全30図を見事に復刻したもので、彩色が施され見やすい。同一地域の現代図も併せて収録し、切絵図各図の解説はわかりやすくて、眺めているとイメージが膨らむ。
『新装版 御宿かわせみ (文春文庫)』のるいの「かわせみ」は、何で日本橋ではなくて、大川端なのか? ふと、疑問に思ったことがあった。切絵図を眺め、江戸の町に思いをはせながら理由を考えた。
1)るいが生まれ育った八丁堀から近くて土地勘があった。
2)第一話の「初春の客」のストーリー展開上、あの場所がふさわしかった。
3)「かわせみ」という宿の名を印象付け、大川を効果的に作品の中で使い、江戸情緒を表現したかった。
4)東海道に出るにも無理が少なく、交通の要所であり、宿屋があっても不自然ではなく、川を挟んで深川があるから。
考えれば考えるほど、よい場所に立地しているように思えて、作者の平岩弓枝さんはよく考えられていると思った。
そうだ、久々に『御宿かわせみ』を読もう。明日はTVドラマも放送されるし。
- 作者: 平岩弓枝
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/03/12
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 120回
- この商品を含むブログ (26件) を見る
- 作者: 平岩弓枝
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/06/10
- メディア: 文庫
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (4件) を見る