池波正太郎さんが亡くなられてから16年。もう、『鬼平犯科帳』の新作が読めないんだなと思うと、時折なんとも切なくなる。いくつかの作品で、長谷川平蔵が登場することがあった。それは、池波さんの鬼平とはまったく別のキャラクターとして描かれてきた。オリジナリティということを考えれば、当然のことではあるが…。
池端洋介さんの『鬼勘犯科帳―初代火盗改・中山勘解由 (コスミック・時代文庫)』を読了した。初代の火盗改の中山勘解由直守を主人公に据えているが、多くの点で、『鬼平犯科帳』を想起させてくれる。
作品 | 鬼平犯科帳 | 鬼勘犯科帳 | |
作者 | 池波正太郎 | 池端洋介 | |
火盗改就任 | 天明七年(1787) | 寛文十二年(1672) | |
上司 | 若年寄・京極備前守高久 | 大目付・大岡佐渡守忠勝 | |
若い頃の呼び名 | 本所の銕 | 助六郎の兄ぃ | |
家紋 | 左三藤 | 枡形の内に月 | |
お惚けキャラ | 木村忠吾 | 青木弥之助 | |
昔なじみの助っ人 | 相模の彦十 | 唐犬の権兵衛 | |
密偵 | 大滝の五郎蔵 | 旋風の文左 | |
たまり場 | 軍鶏鍋五鉄 | 軍鶏鍋鴛鴦屋 |
三田村鳶魚さんの著書によると、中山勘解由は容赦のない仕事ぶりだったようである。「この勘解由は元来なかなかの仏者でありました。それが六方男立てのあばれ者どもを鎮撫する命を受けた時分に、すぐに仏壇をぶちこわして、今日からはもう慈悲では治らない、というので、少しでも風体の変な者は、取っつかまえて詮議もせずに斬ってしまった。それですから例の旗本奴・町奴の検挙を二度ほどやりまして、首尾よく鎮静させることが出来たといわれております」(『三田村鳶魚全集 第13巻』)
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